2017年02月

2017年02月20日

<GPS捜査>無断使用は「約款違反」 業者、特例と認識

捜査対象者の車に全地球測位システム(GPS)発信器を取り付けて居場所を把握する捜査の違法性が争われた窃盗事件の公判が20日、東京地裁で開かれ、警視庁に発信器を貸し出した電気通信事業者が証人出廷した。社長は第三者への無断取り付けを禁じる内容の契約約款を警視庁側に渡したと説明。警視庁の使用方法は約款に違反するとみられるが、社長は「警察なら(無断でも)許されると思っていた」と述べた。

社長を証人尋問したのは窃盗罪などで起訴された男(48)の公判。警視庁は2012年〜14年、裁判所の令状を取らないままGPSを捜査に使っていた。

同社は発信器の位置をスマートフォンなどで把握できるサービスを提供している。関係者によると、契約約款に「サービス内容に同意した利用者の位置確認並びに自己位置通知のためにのみ利用する」と記載。この目的以外の利用や第三者のプライバシーを侵害する行為を禁じ、違反した場合は「直ちに契約を解除できる」としていた。

社長は証人尋問で「警察官と確認して捜査員個人と契約した。約款は発信器に同封して送付した」と説明。「何に使うかは確認していないが、捜査対象者に向けて使うとは想像していた。警察の中で個人情報のガイドラインを覆せるような特例があるのかと思った」と述べた。

事件を担当し、前回公判に証人出廷した捜査員は、個人名で契約したとし「上司から『契約してくれ』と言われて従った。代金は捜査費で会社の口座に振り込んだ」と説明。捜査員の上司は「個人契約だが警察の存在を隠したわけではない」と証言した。2人とも「約款は知らなかった」としていた。

これまでの公判では、警察庁がGPSの存在を秘匿するよう全国の警察に通知していたことが明らかになっている。

別の窃盗事件を審理している東京地裁立川支部は昨年12月、警視庁のGPS捜査を「裁判所の令状を得ておらず違法」と認定したが、この捜査でも同社のGPSが使われた。

令状のないGPS捜査を巡っては、裁判所によって違法性の判断が分かれており、最高裁大法廷が今春にも統一判断を示す見通し。

毎日新聞 2017/2/20


security_taisaku at 21:16|この記事のURL裁判 | 警察

2017年02月17日

通信傍受、11事件で33人逮捕 16年、詐欺で初適用

法務省は17日、通信傍受法に基づいて全国の警察が昨年1年間に捜査で電話の会話を傍受したのは11事件で、うち1件は詐欺事件だったと発表した。詐欺事件は、昨年12月に施行された改正通信傍受法で拡大された対象犯罪の一つで、初適用になる。

法務省によると、昨年1年間で傍受されたのは拳銃所持などの銃刀法違反4件▽薬物密売などの覚せい剤取締法違反と麻薬特例法違反計5件▽組織的殺人の組織犯罪処罰法違反1件▽電子計算機使用詐欺1件−−の計11事件で、計33人が逮捕された。いずれも携帯電話の会話の傍受。傍受令状は40件請求され、裁判所は全て認めた。

昨年12月の改正通信傍受法施行で対象犯罪が薬物、銃器、集団密航、組織的殺人の4類型から、組織的な詐欺や窃盗、放火などにも適用が可能となった。現在は捜査官が通信事業者の施設に出向き、事業者社員らの立ち会いの下、リアルタイムで傍受している。2019年6月までに通信内容を暗号化したり、復元したりできる特定の機器を使えば、立会人が不要となり、警察署内でも傍受が可能になる。

毎日新聞 2017/2/17



security_taisaku at 19:10|この記事のURL警察 

2017年02月02日

GPS捜査の秘匿指示 警察庁が18年に通達 書類残さず広報せず

警察当局が容疑者の車などに衛星利用測位システム(GPS)端末を取り付けて行動を確認するGPS捜査について、警察庁が各都道府県警に平成18年、「捜査書類にGPS捜査を実施したことを記載しない」などと秘匿を求める通達を出していたことが1日、関係者への取材で分かった。東京地裁で開かれている窃盗事件の公判で、弁護側が通達について開示を請求し、裁判長が昨年11月に請求を認めたことで明らかになった。

GPS捜査をめぐっては、警察庁は従来、容疑者に捜査を察知させないため、裁判官の令状を必要としない任意捜査と規定してきた。刑事訴訟法上、令状は容疑者に示される必要がある。一方、令状に基づかないGPS捜査はプライバシーの侵害に当たるなどとして各地の裁判所で違法性が問われており、司法判断も分かれている。最高裁大法廷が今春にも統一判断を示すとみられている。

18年の警察庁の通達は、GPS捜査のマニュアル「移動追跡装置運用要領」の運用について説明するもの。保秘の徹底として、(1)取り調べ時に容疑者にGPS捜査を明らかにしない(2)捜査書類作成時にGPS捜査を推知させるような記載をしない(3)事件広報時に報道機関などにGPS捜査を実施したことを明らかにしない−などとした。

警察庁の担当者は「具体的な捜査手段を推測されると、対抗手段を講じられかねないため」と通達を出した理由を説明している。

産経新聞 2017/2/2

security_taisaku at 22:22|この記事のURL警察 
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